「手先の器用なことが良いお嫁さんの条件」と伝えられるトルコでは、女性たちは幼い頃から家庭内で様々な手芸を習得します。祖母や母から伝承されたトルコ伝統手芸の中でも代表的なものとして『オヤ(OYA)』があります。
イスラム教を信仰するトルコでは、その教えに従い、女性たちは髪を覆い隠すためスカーフを被る習慣があります。ガーゼのように薄いスカーフの縁には、花や果物をかたどった繊細な縁飾りが施されており、その縁飾りを総称して『オヤ』と言います。
オヤは使用する道具や用いる材料によって名称が異なり、縫い針で作る『イーネオヤ』、レース針で編む『トゥーオヤ』、ビーズを用いる『ボンジュクオヤ』、タティング用のシャトルを使う『メキッキオヤ』、Uピンで編む『フィルケテオヤ』があります。
さまざまあるオヤの中でも、イーネオヤは歴史的に最も古く、完成度の高い究極の伝統レースです。しかしながらトルコ現地でも制作者が少なくなっているため、大変貴重な伝統技法です。縫い針1本で作ることのできる繊細なイーネオヤ作りに是非挑戦してください。
トルコ伝統手芸研究家 / 手芸家
外資系アパレル会社でディスプレイ職(VMD)を経て、手芸家活動開始。小学校時代アメリカで育ち、得意の語学を活かして海外手芸を探求。
2002年~2004年プラハ在住時チェコのボビンレースを習得中にトルコ人の友人よりオヤを紹介される。
2005年トルコに赴き、現地にて様々な伝統手芸の直伝を受ける。帰国後、記事の執筆・作品制作・講座開催を通じ、トルコ伝統手芸の普及に努める。
■ オヤ教室 : ヴォーグ学園ほか、全8クラス開催中。
■ 主な著書 : 『トルコ可憐な伝統レース イーネオヤ』